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VOL.175 [全酪新報 2015年3月20日]

低コストTMRで1万キロ維持 長命連産牛群目指す

桧山牧場 栃木県那須烏山市

 栃木県那須烏山市の桧山牧場は、20年近く前からTMRに混ぜる配合飼料は、1頭当たり10キロに固定しているが、自給粗飼料や輸入乾草の配合、裁断長、ミキサーの回転時間などを毎日見直し、結果として同じ飼料は作らない。輸入乾草は比較的低いグレードのものを使っているが、1日1頭当たり平均33キロ、年間1万700キロ生産する高能力牛群を誇る。桧山嘉男さん(42歳)は「毎日同じことをするのが嫌いな性分。もともと低コストなTMRを使っていたから、配合飼料価格の高騰もどこ吹く風だった」と話した。

 桧山さんは1993年に就農。当時はつなぎ牛舎で40頭搾乳の経営規模だったが、翌94年にフリーストール牛舎を建設した。現在は経産牛70頭、子牛・育成牛40頭、総頭数110頭を飼養している。自給飼料はイタリアン10ヘクタール、デントコーン8ヘクタールの二毛作。

 就農した当時は、1頭当たり9800キロ搾っていたが、その後は徐々に減少。結婚した98年は8千キロまで落ちた。「何か極端に下手なことをしたわけでもなかったのに、成績を見ると見事に右肩下がり。結婚をきっかけに経営を見直した」と振り返る。

 その頃、セイワの営業担当者が牧場に来て、ビタコーゲンを紹介された。「繊維の多い乾草を増やしながらビタコーゲンを試してみると、それまでよりも食えるようになってきた」と効果を実感。その後、ビール粕を加えると、乳量が一気に増加し、1頭当たり年間1万キロを超えた。

 しかし、乳量は増えたものの、疾病の発生も増加した。考えた末さらに繊維を増やす一方で、最大で18キロ給与していた配合飼料の量を半分近い10キロに減らし、その量を固定することにした。「あれよあれよと食う量が増え、いつの間にか搾り切りのいい乳房になった。体細胞数はひとケタになり、繁殖も良くなった。それからは、低タンパクを意識するようになった」と桧山さん。その後も繊維の粗い乾草を探し、最終的にイタリアンのストローに決めた。「馬の敷料に使うようなものだけど、それでも食う。みんなにはビックリされた」と笑顔で話した。

 すると、牛の食い込みが今まで以上によくなり、乳量は日量37キロまで伸びた。「なにこれと思った。しかも、コストはダウンした。配合飼料価格が高騰した時期も、うちはどこ吹く風。安い飼料でも搾れると鼻高々だった」。

 現在の乳量は33キロ。ピーク時に比べて4キロ減少した。「食うけれど、急にパタッと馬力が出ないと去年感じた。今は試行錯誤している。遺伝子は間違いなく乳を出すように改良されている。でも、牛は自分の身を削って乳を出しているわけだから、乳量を追いすぎると病気になる。車で例えると、時速100キロで走れても80キロでいいから無事故で走ってくれと。そのようにアクセルをコントロールしたい」と考えている。

94年に建設したフリーストール牛舎
1万キロを超える高能力牛群

 ピーク時よりは乳量は減少した一方、繁殖成績は良い。そのため、牛の健康を維持しながら繁殖も維持し、その上で乳量が増えるよう、全体のバランスを重視している。

 TMRの原料は、デントコーンサイレージ、イタリアン、ルーサン、オーツ、配合飼料が中心。桧山さんは「今に至っては、オーツはグレードの低い肥育用、ルーサンは雨当たりグレードでも充分」と笑う。

 混ぜる原料の量は毎日変更。天気や気温、湿度、牛の状態によって配合する割合を変える。裁断長も一定ではないため、ミキサーの回転時間も日によって変える。「ミキサーの回転時間を5分変えただけでも、何でこんなに食えるのかと感じることがある。ミキサーに入れる順番を変えただけでも変わるかもしれない」と最適な混合を常に模索している。

 デントコーンサイレージについては、多い時は1頭当たり18~20キロ、少ない日は12~13キロと増減が激しい。配合飼料は10キロに固定しているため、粗飼料の中で濃いもの、薄いものでコントロール。例えば、調子が悪い牛が増えたと感じたら、柔らかい乾草とデントコーンを多めにして消化しやすいように変える。

 ビタコーゲンは搾乳牛のみに給与し、年間を通じて1日1頭当たり100グラム。自給飼料の切り替え時や乾草のロットが変わった時は200グラムに増やす。「乾物摂取量が増えたことが一番大きい。
飼料のグレードを落としても、乾草を食えるようになるのは魅力的。たい肥が発酵するスピードは間違いなく上がった」と評価している。

 今後について桧山さんは「食べ過ぎても栄養をとり過ぎず、それほど食べなくても充分な栄養が摂取できる。それを目指している。初産、2産、3産で乳量が出なくても、大事に飼っていれば、そのうち出る。いつの間にか自然に34、35キロになればいいかな。平穏無事が何よりも一番」と長命連産な牛群を目指している。

  • 桧山さん
  • TMRの配合が日によって異なるため、たい肥の出来は様々だが、ビタコーゲンの給与で発酵のスピードが上がった
  • 今年から導入しているオリオン機械の新型搾乳ユニット。桧山さんは「軽くて性能がいい。スリップして落ちることがないから、一度掛けたら最後までそのままにできる。搾乳が楽になった」と評価している